◆ 十石坂観音堂 ◆
 十石坂観音堂は、入母屋造りの瓦葺きで、江戸時代末期の建築物と思われる。内陣と外陣の境の格子には非常に細かい技巧が施されている。

また、外陣の天井には極彩色の絵が描かれている。専称寺の先代が復元したという。

 中には、江戸時代末期の作と思われる官殿造り柿葺の彩色鮮やかな厨子と宝形で板葺屋根で黒漆塗りの厨子二基がある。
 また、境内には、岡部宿の漢学者で『駿河記』の編者に選ばれた河野孫園の碑もある。


◆ 小野の小町の姿見の橋 ◆

 そのむかし、岡部の町がさびしい村だった頃のことじゃ。小野の小町という世界三大美人の一人といわれた美しい人がいたそうな。歌にも優れ、しかも美人だったので毎日を楽しく過ごしていたそうな。
 その小町も年を取り、ある時、京都から東の国へ行く途中、岡部の地に泊まることになったのじゃ。長旅と病気がちのため、すっかりやつれてしまった小町は、この宿場の橋の上に立ち止まり、岡部の山々を眺めていたのじゃ。が、ふと橋の下を見ると自分の姿が映っている。あの美しかった小町もすっかり姿が変わり、やつれた姿を見て悲しみながら岡部の宿をたったそうな。

 このことがあって誰言うとなく、この橋を「小野の小町の姿見の橋」というようになったと。現在、石の橋に変わり幅3mの橋から今ものぞいている人がいるのも不思議なことじゃ。


◆ 五智如来像 ◆
 宿はずれにあった誓願寺の境内で、東海道に面して安置されていたものを、近年現在地に移した。
 宝永2年(1705)、陸奥棚倉城主から駿河田中城主に移封された内藤紀伊守弌信の家老脇田次郎左衛門正明が、同年に誓願寺へ寄進したものである。
 五智とは、仏の備える五種の智・即ち法界体性智、大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智のことで、五智如来とは五智のそれぞれを成就した五如来のことである。
 石像の仏像としては、大きなほうで材料の石は地元で産出する「三輪石」で、安山岩質凝灰岩である。



●宿の成立/江戸時代の宿/宿場の様子
●大旅籠 柏屋/宿本陣跡/宿跡の家並/西行法師の笠懸の松



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